ルックバック 突き抜ける好奇心

movie

子供の頃に描く夢

おそらくその多くが突飛なものだろう

自分も良く空想に耽り

ひとり想像の世界に入り込むのが好きだった

58分という短い中にも強い光を放つ作品

この映画は、二人の少女が絵を通して出会い、そしてたくましく成長する姿を描いた物語です。

周囲の大人から将来性のある仕事に就けるような選択を勧められる中、自分の好きな事にとことん情熱を注ぎ込む二人の姿に心を打たれました。

この映画を観た後、今一度自分自身を俯瞰してみて、大人になるにつれて失くしてしまったものや、自分が歩んできた大人社会とは一体なんだったのだろうという思いが溢れてきました。

そこで、これまでの自分の人生観と照らし合わせながら映画の感想としてまとめてみました。

映画のテーマとは少しずれてしまった部分がありますが、よかったら見ていって下さい。

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YouTubeチャンネル レコメンそじぼ

映画の感想

大人社会への階段

子どもは時が経つにつれて社会の空気を敏感に感じ取るようになり、小学生から中学生、高校生へと少しずつ夢との折り合いをつけながら、大人という階段をのぼっていきます。

しかし実際に社会へ出てみると、自分の思い描いていた「大人社会」と目の前に映る現実の「大人社会」との間に、大きな懸隔があることを実感し、戸惑いを覚えます。

よく分からない因習に従う大人がひしめき合っていたり、冷淡でドライな人間関係が構築されていたりと、「大人社会」の仲間入りをするためには笑顔と情熱だけではとうてい太刀打ちできないということを痛感します。

これまでのぼってきた「大人の階段」とは全く違う、「大人社会へ参加する」ための階段を社会に出てからはのぼっていかなくてはなりません。

それは今までのぼってきたような整備されたキレイな階段とは違い、いびつで暗く冷たい階段です。

冷え切った階段は、登っていく人の熱を徐々に奪っていき、やがて笑顔と情熱を抜き取って立派な社会的動物に仕立て上げようとしてきます。

生産効率に飲み込まれる人生

一旦「大人社会」に参加してしまった以上、社会の根底を揺るがすような疑問を抱いたり、自己主張しようものなら、すぐさま従順な大人たちにとり囲まれて厳しい取り締まりを受けてしまいます。

大人社会では、「情熱」や「主義主張」という抽象的なものではなく、効率的に生産するといった目にみえる結果を残さなくてはならないのだという共通認識を叩き込まれるのです。

毎日を隙間なく働かされ、たまの休みの日にはスマホでSNSをスクロールし続け、苦痛と退屈を和らげることをひたすら繰り返す人生を余儀なくされるのです。

煩わしい子どもの頃の夢

大人社会に居続けると、「そろそろ結婚すべきだ」とか「そろそろマイホームを持つべきだ」、「それらしい車を買うべきだ」といった他人目線の尺度で自分の幸せを測るようになってしまいます。

いったい誰のための人生を歩んでいるのかさえ把握できないまま、おおよそ本意とは言えない方向へ人生は転がり続けていきます。

生活を維持するための仕事も多忙を極めていき、いつしか子どもの頃に抱いていた夢とは、煩わしいもの以外の何物でもなくなってしまいます。

暇さえあればXをスクロールして辛い現実から目を逸らすことができるので、あえて没頭できる趣味なんて作る必要がなくなるのです。

しかし同時に、何かに没頭できるということが人生を豊かにする上でいかに貴重なことなのかということも、心のずっと奥の方では知っています。

効率性や合理性を叩き込まれた人間は、非効率で非合理的な「夢中になれるもの」に対して強い拒否反応を示し、できるだけ視界に入らないように奥へ奥へと追いやっていくのです。

好奇心は旺盛か、突き抜けているか

この映画は、自分を信じて夢中で何かに打ち込んでいる人への賛歌だと思います。

夢中になれることの素晴らしさとかけがえのなさがひしひしと伝わり、二人が魅せる突き抜ける好奇心と向上心に私は素直に感動させられました。

さまざまな理由で諦めてしまった夢

どこかに置き去りにしたままの自分への期待

今からではもう遅すぎると、「大人社会」から抜け出せずにいる自分、そして現実に高を括ってしまっていた自分にこの映画は突き刺さりました。

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