「限りある時間の使い方」 いかに「今」を生きられるか

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私は本を読む時

重要な点にマーカーを引いていくのですが

マーカーだらけになってしまいました。

著者紹介

オリバー・バークマンOliver Burkeman

作家兼ジャーナリスト。

イギリスの全国紙ガーディアンの記者として外国人記者クラブの若手ジャーナリスト賞を受賞した気鋭のライター。

自分は限られた時間である

時間からは誰も逃げられません。

自分とは時間であり、自分の成長とは時間の経過です。

誰も抜け出すことはできないし、そこに留まることもできません。

しかし私たちはそんな都合の悪い現実から目を背けるために、生産的な日々にしがみついて生きています。

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感想

生きる準備で終わる人生

人生というものはあっという間です。

80歳まで生きれて4000週間

私はこれまで、「今」というものを本番前の予行演習として捉えていました。

いつか来る本番のために完璧な装備をして臨もうと準備する。

  • この色が良い
  • こっちの形の方がかっこいい
  • あの人が持っている方が良いかな

おそらくいつまで経っても装備品にこだわり、準備し続けていると思います。

しかし永遠に本番はやってこないのかもしれませんし、装備にこだわっている間も確実に時間は過ぎていきます。

人生には予行演習などはなく、現実のすべての選択に犠牲がついて回ります。

未熟な自分を受け入れる

  • 他人からの期待に応えたい
  • がっかりさせたくない
  • 指示された仕事は絶対やり遂げたい

私は結果が出せないことを効率性や時間管理のせいであるともがき、ほぼ達成不可能なところまで目標のハードルを上げていました。

「今の自分」を犠牲にしてでも「将来の自分」のためならば頑張って働かなければいけないという、半ば強迫観念のようなもの駆られて生きてきました。

しかし、それは今の未熟な自分と向き合わず、「将来の自分」に問題を先送りしてまえるという安心感を得ていただけなのかもしれません。

もしも先送りしてきた未来が今なのだとしたら、未熟な今の自分を受け入れることができるでしょうか。

おそらく、さらに「将来の自分」へと責任を押し付けて先送りにするのではないでしょうか。

「今の自分」を受け入れられない限り、永遠に効率性や時間管理というものにしがみついて生きていかなくてはならなくなります。

今という貴重な瞬間は一生味わえないのかもしれません。

結論を出せず「今」を先送りしてしまう

世間的な評価を軸にして決断するということは、後々に言い訳を担保する生き方です。

自分で決断するのを避けることは人生に責任を負わない生き方です。

忙しい日々に没頭し、休みの日にはスマホをスクロールして気晴らしをすることは、世間的にいわれるサラリーマンとして清々しい姿なのかもしれません。

しかしそういった快適さは、私たちから大切な「今」を奪い取っていきます。

人生とは何かを捨てて何かを得るという決断の連続です。

苦痛を伴う決断を他者に委ね、たまの休みを世間的に過ごして安心感を得ることは「今」を直視せずに先送りし続ける人生です。

「今」という本番を生きる

完璧な装備を目指すだけの人生ならば、「今」は何のためにあるのでしょうか。

人生が準備だけで終わり、「今」という本番を生きられないのであれば、不細工な装備でも構いません。

不完全な自分を受け入れてでも未熟な自分を晒してでも、私は「今」を生きたいと思います。

理想を追い求めがちな私にとって、平凡な自分を認めることは辛い現実を受け入れることです。

「現実を先延ばしせずに今という本番に向き合いたい」

そんな感情が湧いてくるのは、そうしないと永遠に「今」を生きることはできないと思うからです。

仕事という現実逃避

人生があまりにも短いという事実は、多くの人を不安にさせます。

その不安を和らげ、癒してくれるのが生産性、時間管理、ワークライフバランスといった非現実的な幻想です。

我々は生活に必要な以上に熱心に、夢中で日々の仕事に取り組んでいる。立ち止まって考える暇ができては困るからだ。世の中がこれほど忙しいのは、誰もが自分自身から逃避しているためである。

ニーチェ

熱心に仕事に打ち込んでいるうちは自己肯定感に陶酔でき、人生の大きな課題から目を背けることができます。

世の中がこれほどまでに忙しくなってしまったのは、誰もが現実逃避して仕事に没頭するようになったことが原因の一つなのかもしれません。

まとめ

欲しいものや真似したいライフスタイルがどんどん増えていくだけだ。

もっとお金を稼ごうと頑張り、忙しさを何かの勲章のように自慢する。

どれだけお金を稼ごうと、人は満足できません。

SNSに時間を奪われ、消費サイクルに巻き込まれてお金も奪われていきます。

労働者は効率化のもとに集約され、本質的ではないことのためにもっと働かなくてはならなくなります。

筆者の言うように、無限に押し付けてくる社会の生産効率性に自分一人で立ち向かうことはできません。

しかし馬鹿げた理想や価値観を捨てることはできます。

くだらない消費と労働のサイクルから抜け出すこともできます。

  • 今の自分に出来ること
  • やるべきことは何か

自分にとって本当に大切な「今の生き方」というものを、じっくり考えることができました。

参考文献


『限りある時間の使い方』
著者:オリバー・バークマン
訳者:高橋 璃子
出版:かんき出版

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