「ネガティブなニュースは目立ちやすく、地道な進歩はニュースになりにくい。」
自分を取り巻く状況はそんなドラマチックに変わらない
小さな一歩を積み重ねていくことが大切である。
YouTubeショート 【レコメンそじぼ】
私のYouTubeチャンネル『レコメンそじぼ』でも、本作品を紹介していますのでぜひチェックしてみてください。
感想
自分と違った意見を謙虚に受け止めること
感情に流されやすく、物事を先読みして捉えがちな私はこの本を読んで、冷静かつ根気強く情報を読み解くことの大切さを学びました。
現代は様々な情報にアクセスできますが、自分が肩入れしている意見や耳障りの良い情報に偏りがちです。
筆者の言う「自分の弱みを知るためにも、自分と異なる意見を積極的に探した方が良い」というアドバイスも納得できます。
立ちはだかる問題の視点や切り口は一つではなく、多面的な要素を含んでいます。
自分の考え方を裏付けしていく作業も必要ですが、自分の意見に合わない情報を仕入れることも怠ってはいけませんね。
たくさんの意見を吸収して自分の思い込みに気づくこと、そして地道に情報をアップデートしていくことが、自己成長していく上で大切なことなのだと思います。
思い込みという支配
他人の行動を見ていて違和感に思うことや変だと思うことに関心を持ち、謙虚になって考えてみると、より良い方法や知らなかった方法が見つかることがあります。
思い込みによって知らないうちに行動が制限されてしまっているということはよくあります。
私は総合病院で働く看護師ですが、経験年数を重ねるごとに後輩看護師の仕事内容に対してイライラしたり否定することが多くなっていました。
しかし後で冷静に考えてみると、実は後輩看護師の方が理に適った行動をしていたのだと気づくことが少なくありませんでした。
仕事の経験が増えていくほどに、知識だけではなく思い込みというリスクも増えていきます。
それなりに経験年数を経た自分という傲りが、新しい仕事の運び方を生み出す能力を妨げていたのだと思います。
そういった自分の傾向に気づいてからは、私は先輩後輩かかわらずどの看護師であっても、なぜそのような行動をしているのか、なぜその準備を先にするのかなど、できるだけ冷静に考えるようになりました。
わからないことは素直に聞いて、時には自分の意見を変える勇気も必要だと痛感しています。
チームワークが大切な医療の現場では特にそう思います。
まとめ
バブルチャートとドルストリートを用いながら真実を説明してくれるこの本は、数字やデータに弱い私でもすらすらと読み進めることができました。
ちなみにギャップマインダーテストの正解率は38%でした。(チンパンジーよりも少し上でした。)
正しい情報も誤った情報も、穴だらけのフィルターでは簡単にすり抜けてしまい、頭の中を先入観で埋め尽くしてしまいます。
情報の罠やフィルターの掛け方を知っておくことで、少しでも事実に基づいた選択をしていきたいものです。
本書では各章の終わりに、情報を取捨選択していく際の注意点をまとめられているので、頭の中で情報が錯綜してしまっている時などは気軽におさらいできます。
道に迷った時や判断に困ったときには何度も見直していきたい一冊です。
参考文献
「ファクトフルネス」
著者:ハンス・ロスリング
訳者:上杉周作 関美和
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